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「目的の場所に着いたぞ」
夜斗と変なやり取りをしてる間に、いつの間にか結構進んでいたようで…
目の前には、今までみたどの木よりもでかい樹木がそびえたっていた
なんとも凄い威圧感のある木で、他のとは比べ物にならない
「どこにいんの、その世界で一番物知りの人」
「何を言ってる?目の前にいるだろ」
「目の前…?このでかい木しかないじゃん」
獅狼の言いたいことは煌弥にうまく伝わらず、夜斗と二人して首をかしげる
すると突然、目の前にあったでかい木がユサユサと左右に揺れた
風は吹いてない
生きているかの如く、それは揺れたのだ
「キュキュッ!?」
「何?」
「人の子が二人…神聖な獣が二匹…一体何ようだ」
目の前の木は、唐突にそう言葉を発した
それを予期していなかった煌弥と夜斗は目を丸くして驚く
確かにこんなところに人がいるのか、と疑ったが
まさか相談相手が木だとは思いもしない
「もしかして…一番の物知りってこの木のモンスター?」
「モンスターじゃないさ。木の精霊だ」
「精霊?」
獅狼の精霊という単語を聞き、更に煌弥は目を丸くする
その様子を伺っていた精霊は、しびれを切らしたように再び口を開いた
「我はこの世界、長寿の木。長い間生き、精霊となった。人々は長樹と呼ぶ」
「まんまかよ」
「長い間、様々な出来事を見てきた。そして我には世界の仲間たちから情報の集まる。お前たちは何か情報がほしくて来たのだろう?言ってみるがいい」
こっちのことは何でもお見通しとばかりに、長樹はそういった
ココを訪れるほとんどの人は、情報を目的に来るのだろう
現に煌弥達もその一人だ
「聞きたいことは二つだ、長樹」
「一つはこの獣のこと。長樹はこの獣のことをご存知か?」
すると木は、またユサユサと揺れ、夜斗を観察するように枝を伸ばしてきた
ソレに夜斗はびっくりしたのか、すっぽりとフードの中に身を隠してしまう
その中でもぞもぞ動くものだから、重心が後ろに傾いて煌弥は首が痛いと顔をしかめる
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