1.非現実世界

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「目的の場所に着いたぞ」 夜斗と変なやり取りをしてる間に、いつの間にか結構進んでいたようで… 目の前には、今までみたどの木よりもでかい樹木がそびえたっていた なんとも凄い威圧感のある木で、他のとは比べ物にならない 「どこにいんの、その世界で一番物知りの人」 「何を言ってる?目の前にいるだろ」 「目の前…?このでかい木しかないじゃん」 獅狼の言いたいことは煌弥にうまく伝わらず、夜斗と二人して首をかしげる すると突然、目の前にあったでかい木がユサユサと左右に揺れた 風は吹いてない 生きているかの如く、それは揺れたのだ 「キュキュッ!?」 「何?」 「人の子が二人…神聖な獣が二匹…一体何ようだ」 目の前の木は、唐突にそう言葉を発した それを予期していなかった煌弥と夜斗は目を丸くして驚く 確かにこんなところに人がいるのか、と疑ったが まさか相談相手が木だとは思いもしない 「もしかして…一番の物知りってこの木のモンスター?」 「モンスターじゃないさ。木の精霊だ」 「精霊?」 獅狼の精霊という単語を聞き、更に煌弥は目を丸くする その様子を伺っていた精霊は、しびれを切らしたように再び口を開いた 「我はこの世界、長寿の木。長い間生き、精霊となった。人々は長樹と呼ぶ」 「まんまかよ」 「長い間、様々な出来事を見てきた。そして我には世界の仲間たちから情報の集まる。お前たちは何か情報がほしくて来たのだろう?言ってみるがいい」 こっちのことは何でもお見通しとばかりに、長樹はそういった ココを訪れるほとんどの人は、情報を目的に来るのだろう 現に煌弥達もその一人だ 「聞きたいことは二つだ、長樹」 「一つはこの獣のこと。長樹はこの獣のことをご存知か?」 すると木は、またユサユサと揺れ、夜斗を観察するように枝を伸ばしてきた ソレに夜斗はびっくりしたのか、すっぽりとフードの中に身を隠してしまう その中でもぞもぞ動くものだから、重心が後ろに傾いて煌弥は首が痛いと顔をしかめる
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