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_______ギャァァァァァッ
_______こんなとこで死ねないんだっ!!
モニターに映る血生臭いその光景
戦場に立ち、魔物に向かいゆく仲間たちが死んでいく
頭を喰いちぎられるもの、胴体を引き裂かれるもの、焼き殺されるもの
どれも目を反らしたくなる酷い死に方だ
だが彼らは死ぬことを誇りに思っている
この場ではそう教えられるから
________司令官っ、死なないでっ
________後は任せました、司令官殿!
魔物たちの親玉と対峙する部隊の仲間たち
何故自分はあの場に立っていないのか
何を呑気に建物の中に引っ込んでいるのか
自分自身に苛立ちを覚えた
嫌だ、失いたくない、訓練を重ねても尚そんな思いが溢れる
(俺は司令官だ、あいつらの上司だ、ここは俺のいるべき場所じゃない)
________俺も出る。
彼には誰の制止も届かず、建物を後にして戦場に立つ
しかしそれは遅すぎる判断
目の前に広がるのは血生臭い匂いと数多くの同志の屍
そして________魔王に捕らえられた彼の部隊の最後の一人
__________ッッ
「やめろっ!!!」
バサッとディアは、布団をはいで起き上がっていた。
汗がひやりと額を濡らし、息が上がっているのに気づき、はぁと息を吐く。
「はぁ、夢、か」
後味の悪い夢だと思う。
もう5年も前の記憶
_________そろそろ俺を自由にしてくれ。
そう思いながら、傍においてある時計を見る。
時間は、午前8時を回ろうとしていた。
勿論学校が始まる時間だ。
そして、今日と言えば…ディアが初めてこの学校に行く日だ。
_________うん、遅刻決定だな。
「はぁ、仕方がない」
ディアはササッと顔を洗い、歯磨きをしながら着替えていく。
きなれないブレザー型の制服に袖を通し、魔力を制御する指輪とブレスレット、視力を抑制する眼鏡をする。
遅刻していくのはめんどくさい、という気持ちが大きいが、流石に初日でサボるわけにはいかないだろうと、準備の出来たディアは、教室の近くに転移魔法を使う。
本当は学園内での魔法は禁止で、転移魔法は使えないように、魔法がかけられている、がディアは例外だった。
この学園にかけられている魔法より、ディアの実力の方が上だということ。
そして、魔法に引っかからないからこそ、使ってることもばれることはない。
「はぁ、入るの億劫…」
そう思いつつも、仕方なく目の前の教室のドアを開けた。
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