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何とも雑な、クロバの朝のHRは終わり、ディアの周りには、数多くのクラスメートが辺りを囲んだ。
そして、興味津々で次々と質問を浴びせるが、あまりの迫力に若干ディアは、引け腰になっている。
流石に、顔には引きつった笑みが浮かび、質問の返答に四苦八苦していた。
そしてしまいには_____
「えっと、あの…そんなに一気に質問されても答えられないよ…」
普段のディアからは考えられない、シュンとした、子犬のような態度。
しかし、それをクラスメートが知るはずもなく、ただ辺りは慌てふためき、次々と「ごめん」と謝る奇妙な光景が生まれた。
それを見たディアはパァッと明るくなり、「分かってくれてうれしいよ」とまるで、天使の如く笑顔を振りまく。
そこからは何故か、一人ひとり自己紹介が始まり、そこで一つ質問をする。と言う形になってしまっていた。
内心めんどくさいな、とディアは思いつつも、質問にできる限り答えるのだった。
「はぁ、やっと終わった?」
かれこれ20分ほどそれは続き、皆は満足したように席に戻っていった。
ディアは、一人安堵のため息を吐く。
「大変だなぁ、転校生もよぉ」
「ふぁっ!?えっと、あれ?さっきの自己紹介していった人の中には、いなかった…」
突然話しかけられ驚くも、よくよく顔を見れば、先程まで自己紹介をしていたメンバーの中には、いなかった人物だと気づく。
皆の名前を聞いていた、と思ったディアだったが、まだ残っていたことに、このとき気が付いた。
「ハッ、お前人の顔と名前、さっきの一瞬で覚えたのかよ」
「ぇ、あぁうん、一応」
「凄ぇな」
「そうかな?あの、よかったら君の名前も教えてくれない?」
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