魔王、運命を呪う

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 我輩は魔王である。全ての邪悪の頂点に君臨する存在。  母親などというのは、今生に我輩が生まれる為の存在にしか過ぎない。我輩が生まれればその意味を成さぬも同然。所詮この世に生を受けた全ては、一個の生命体に過ぎないのだから。  だけど、心にぽっかりと穴が明いたようだった。支配とか暗黒世界とか、戦争とか呪文とか、その全てがどうだっていいように思えた。  そんな我輩の思いも知らず、太陽だけが眩しかった。ポカポカとした陽気が、昨日の寒さまで忘れさせてくれる。 『神の大馬鹿野郎!』  全ての感情を洗いざらいぶちまけた。多分人間が訊けば『ニャーー!』としか聞こえないだろう。  それでも良かった。我輩全ての世界に、思いの丈をぶちまけたのだから__
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