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『……まぁ、どうでもいいけどね』
しかし母君の反応は薄かった。生まれたての弟達を、舌を使ってペロペロと舐めて、濡れた毛並みを綺麗に拭き取っている。
その覚めたような淡白な受け答えには、流石に怒りが込み上げた。我輩は魔王であるぞ。この世の創造主である神とも肩を並べる存在。いずれは世界を統一して、暗黒世界を構築する最強君主__
『グシャッ!』
『ほら、くしゃみした、鼻水も垂れてる。そのままじゃ風邪をひくよ』
『……』
しかし実際、今はどうでもよかった。生まれたてのビシャビシャで流石に寒気を感じる。乳でも飲まなければどうにも生きる勇気が沸いてこない。
いそいそと母君の懐に潜り込み、両手で乳房をまさぐったのだ。
もちろん暗黒世界の野望をなくした訳ではない。今は腹一杯の乳を飲み干して、ゆっくり寝ることだけが我輩の野望であるから__
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