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「さてと。そろそろ帰ろっか。夜も更けて寒いしね。」
きつく抱き締められていた腕を解かれやや寂しい気持ちになったが、それは敢えて言わなかった。
「うん。そうだね。」
彼の手によって立たされ、手を繋ぎ来た道を再び引き返した。思っていたが、割りと奥まった所まで来たことに今更ながら気づいた。
「結構、歩いてたんだね。行きの時は全然気付かなかった。」
「行きはお喋りとかに夢中だからね。ここの桜は昼間は凄い人らしいよ。夜だから人気もないんだけどね。デートにはもってこいでしょ?」
「ヘビ看板がなければね!」
「まだ寒いから出てこないよ。大丈夫!出てきても守るから。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。早く車に戻ろう。ハルが風邪引かせられないよ。」
「蒼もね。」
「俺は大丈夫!だってハルと居るといつも燃えるから。」
どういう意味なんだろ?
時々、蒼はよく分からないことをいう。
繋いだ手は温かく、なんだか安心する。
私が良いという蒼。
私は、この見た目王子様と結婚するんだ。まだ、実感が全然湧かないけど…ずっと一緒に生きていたい思いはある。
二人を祝福するように風が舞い上がり辺りは桜吹雪となる。そして、月は柔らかい光を照らしただ空から見ていた。
「ハル…。俺の花嫁さん♪俺の重い愛を受け止めてね! 色んな意味で覚悟して?」
「えと、それはどういう…。」
fin.
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