特殊な双子

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「開けてみてよっ」  言われるがまま中身を確認すると、俺のイニシャルが入ったハンドタオルが入っていた。 「頑張ったんだよ」  朱里の手を見ると、指に絆創膏が貼られている。慣れない刺繍で怪我をしたのだろう。そう考えると、ハンドタオルがキラキラと輝く宝物に見えてきた。 「ありがとう。嬉しいよ」 「ふふっ、大事に使ってね……その雑巾」  ……  …… 「雑巾かよ!」 「そうだよ」 「H・Mってイニシャルが入ってるぞ!」 「イニシャル? ああっ、それはハンドメイドって意味だよ」 「わざわざ刺繍してまでハンドメイドを強調するなよ!」 「性能は保証するよ。さっき窓を拭いたら、すっごい埃が取れたからね」 「使用済みかよ!」  声が涸れそうなくらい叫ぶと、今度は弟の凍夜が前に出てきた。
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