あやかし会社 ─この星に花束を─

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「これは……なんてキレイなんだろう」 「ああ格別だね。これこそ“勿怪の幸い(もっけのさいわい)”かな」 尻尾をパタパタさせながら「なんですかそれは?」 「勿怪とは妖怪で、思いがけないような幸運が舞いこんでくることをいう言葉さ。幸をもたらす効果として、美しくすることを化粧というけど、妖怪やお化けをあらわす化生が語源ともいわれているね」 「地球さんも足を化粧してもらって嬉しいのですね」 「あんなにごつい足だったけど、もしかしたら地球は女なのかね」 アオネさんが可笑しそうにするから、ぼくは心がほっこりしました。 そうしているうちに、地球さんの足は床に消えたのです。 「また来年も足を化粧しようかね。今度はネールをしてやるかな」 「駄目ですよアオネさん、地球さんをからかっては」 あなたも朝からソワソワする日は、きっと特別だと心の奥底で知っているのかもしれませんね。 それこそが地球さんの誕生日なのです。 そんな日は、怒らずに楽しく1日をすごしてください。 あやかし会社 ─この星に花束を─ 終。
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