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「ふう、こんなところかね」
「そうですね。これで満足してくださると思います」
床からつきでた巨大な足は、それはそれはキレイに磨かれて、とても満足そうに足指をニギニギしていました。
「きっと1年ぶりに洗ってもらえて嬉しいのですね」
「1年ぶりって、こいつは一体なんの妖怪なんだい?」
「この足は妖怪ではありません。これは地球さんの足なのです」
「そ、それじゃ今日は“地球の誕生日”なのかい!?」
さすがのアオネさんも吃驚仰天です。ちょっと自慢(尻尾がピンと)。
「これは最古の妖怪から受け継がれてきた伝統行事なのです」
「地球が誕生して46億年というけど、妖怪はそんな古くからやってきたんだね」
「地球が産声をあげた日を誕生日にしたといいます」
「なるほどね、星の音か。宇宙空間には空気が無いため無音だと思われがちだけど、実際には惑星や恒星も電磁震動としての音があるらしいね」
ぼくとアオネさんはまぶしそうに足をながめました。
すると地球さんの足が、あたかも大樹がひろげた枝から花を落とすように、はらはらと虹色の花びらを舞い散らすではありませんか!
それはそれは神秘的な光景で、思わず心の底からため息がもれました。
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