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産まれたての人々
3月8日、僕の愛しい妻ひとみが赤ちゃんを出産した。
可愛い我が子……と初対面で感動するかと思いきや、立会い出産で出てきた子供は、血まみれで青白かった。天使のような綺麗な状態で産まれると思っていた僕は、この血みどろの宇宙人の姿に貧血で倒れた。
遠のく意識の中、「おりゃぁぁあ! 出たぁぁぁあ!! このクソッタレがぁぁあ!!」と今までにないハイテンションのひとみが、ありとあらゆる罵詈雑言を並び立て、自分の偉業を褒め称えていた。
僕のひとみちゃんはクソッタレなんて汚い言葉を使った事があっただろうか? 否。今までにそんな言葉は一度も聞いた事がない。100歩譲って「おウンコたれ」ですら聞いたことはないぞ。僕のひとみたん、どうちたの?どうちたのでつか?
ピヨピヨと頭にウンコのイラストが回る中、割とすぐに助産師さんに激しく揺さぶられて、僕は赤ちゃんの足の裏に油性ペンで苗字を書く任務についた。
「可愛い赤ちゃん。お父さんそっくりですねー」
助産師さんの言葉に僕は笑顔を見せたが、西ローランドゴリラの正式名称はゴリラ・ゴリラ・ゴリラだというどうでもいい豆知識をこの子を見て思い出した。
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