アノ日当日

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俺を簡単にお姫様抱っこをすると香椎は参列者と義人さんを見据えて冷たく言い放った。 「姫、もろてくで。潰れる気ぃあるなら奪いに来ぃや。待ってるで?」 そしてきびすを返し車の方へ、ガツガツガツガツ下品な音を立てて歩き出した。 追ってくる者なんて1人も居なかった。 義人さんでさえ。 「はぁ~、ごっつ緊張したわ~。蓮、車出してや~」 車に乗り込んでから気づいた。 運転手は一次会で金剛と名乗った人だったのだ。 ということは、本当に香椎が四代目で四代目が香椎で…蓮? 金剛さんて蓮って名前!!? 金剛なのに…もっとゴツい名前かと…‥じゃなくて。 「香椎、どこ行くの?」 「え?それは秘密や~♪」 「…別に良いけど‥そろそろ膝から下ろしてくれないか?」 「もうすぐ着くし、ええやろ?」 うん会話が成立しない相手だった。 「あ、ほら着いたで。下りて下りて!」 自分が「ええやろ」とか言ったくせに… 俺が車のドアを開けようと手をかけたら、ドアが勝手に開いて俺は地面に転びそうになった。 転ばなかったのはドアを開けたのであろう金剛さんが上半身を受け止めてくれたからと… 後ろから香椎が俺のベルトを掴んだから。 タキシードのサイズがきつめで良かった…ベルト締めてて良かった!! 2人にありがとうと言って気をつけて外に出てみる。 「…え?どこここ‥」 目の前にはあり得ないくらいの日本家屋が視界に収まりきれずに俺を圧倒した。
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