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「四代目の誕生日は明日でしょうが、照れ隠しにしょーもない嘘言わんで下さい、がっはっはっは!」
金剛さーん?
え?香椎の誕生日は明日って聞こえたんだけど…。
俺は先ほどの香椎の一言と今の金剛さんの一言を照らし合わせようとしたが…その必要はなさそうだ。
「嘘ちゃうわ!冗談や!!別にええやろ!せや、これは姫の誕生日を祝うアレやねん!」
香椎が金剛さんをバシバシとはたきながら言った。
「がっはっは!」
「わっはっはっは!」
ドヤドヤガヤガヤした笑い声に包まれて俺は泣いた。
「あー!もう泣くな言うてんのに~姫、わりと頭悪いんやな?」
笑いながら俺の頭を抱く香椎に「黙れ馬鹿わんこ」と言うと周りの笑い声が一層デカくなった。
俺は泣きながら笑った。
そんな俺を見た香椎は笑って俺の頭を撫でた。
「な?姫と俺運命言うたやろ?」
そのあとだだっ広い風呂で何人かとまとめて風呂に入るとき傷痕とかを見られるのが嫌だったけど、
先に傷だらけのオジサンが「傷は勲章や!自慢してええもんやで!!」と自分の傷を見せつけたのでそれほど苦にならなかった。
でもやっぱり俺の傷痕をみた皆が
「若いのに苦労したんやな」とか言ってくれたが中でも一番助かったのは、笑い飛ばしてくれたこと。
同情されると少しマイナスな気分になるけど、良い意味で笑い飛ばしてくれたから救われた。
途中乱入してきた香椎が「なんで姫がみんなと入っとるん?俺も誘ってなぁ~」と叫びながらズカズカ入って来て石鹸を踏んで端まで滑って行ったのには大笑いした。
明日は香椎の誕生日と俺のを合わせて祝ってくれるらしい。
義人さんが言いたかったことが何かは分からないけど、俺は義人さんが嫌いな訳ではなかった。
「姫何たそがれてるん?こっち来ぃや~」
香椎に呼ばれたからここでサヨナラ。
やっぱり生きてて良かったわ。
-end-
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