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(きつい仕事ではあるけど、生活が保障されるなら我慢もできる。)
そう思って努力してきたのだが…この男は莉子の努力を顔と持ち前のコミュ力で軽々と乗り越えていくのだ。
どんな仕事もチャラチャラとこなしていく様子がまた鼻持ちならない。
おまけにキラキラネーム。星に天馬…ペガサスと呼ばないだけマシか。
しかし、そう感じているのは莉子だけのようで。社内の評判はすこぶる良い。
「という事で!何か質問ありますか?ないですね?
はいっ!では今日も笑顔でよろしくおねがいしまぁっす!」
「よろしくお願いしまーす!」
天馬の掛け声にハッと我に返った。天馬と目が合う。ニコッと莉子に笑いかけた。
「莉子先輩、それにしても大丈夫ですか?眼科とか行きました?熱とかありませんか?」
オペレーターを送り出した後、こそっと聞いて来た。
「あ…ああ…まだ少し痛いですけど、大丈夫です。リーダーにもご心配おかけしてすみません。」
「リーダーとかよしてくださいって。僕の方が年下ですし。スキルだって…」
「性分なんで。頭固いってよく言われますけど、すみません。」
それだけ言うと莉子は自分のブースへと入った。全体をモニターしながら、待機するのだ。電話受付開始時間が迫っていた。天馬も自分のブースへ入ったのを見てホッとした。
星天馬は直属の上司として本心から心配してくれているのだろう。いちいち引っかかるのは自分のコンプレックスから来ているものだと理解している。
電話受付開始時間になった。天馬が回線をオープンにした途端に一斉に注文の電話が入って来て、感傷的な気分から現実へと引き戻された。
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