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おもい言葉が言えなくて
私はある言葉がどうしても言いづらい。
半年前だってそうだ。
「あんた、また皿を割ったの?大事な皿なのに」
「……」
「悪いことしたんだからなんか言いなさい!!」
その場で私は一筋の涙を目元から顎に向けて静かに流れた。その顔を見て母親は黙って割れた皿を片付けた。
言いたくないんじゃない、素直に言えないんだ。
心の中では思っている。
言葉じゃなくて涙が出てごめんなさい。
それから一ヶ月半後になった。
私は友達とケンカをした。私としては大したことではないと思っていた。
「なんであの子に言わないでって言ったのに言っちゃうの?」
「こ……」
言葉を詰まらせてしまった。これじゃダメだ。言わなくては。でも彼女は……。
「口答えする気?マジうざいんですけどー」
私は何も言わない方がいいのだろうか。それでも思いを伝えないと……。
心が苦しい。
その次の日、私は彼女に話をかけた。
「この間は……」
彼女は私を睨んでこう言う。
「謝るぐらいなら死ねよ」
私をそこに置き去りにしたまま、彼女は教室の外に出て行った。
私はめまいするかのようにぐらついた。何でだろう。
次の日から彼女は私を無視するようになった。
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