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私はママが大好き。
パパも大好き。
……新しいママも、好き。
誕生日に並ぶごちそうは私の好きな食べ物ばかり。
一緒に置かれるケーキはイチゴやブドウのたくさん乗ったあの日と同じ物。
みんなで食べようって言っていたケーキ。
テーブルには必ずママの写真が私に笑顔を向けて飾られる。
ママの選んでくれた花柄のワンピースは小さくて着られないけど、新しく買ってくれたワンピースは同じような花柄模様。
クマさんと並んで仲良し兄弟のようなぬいぐるみ。
ベッドの上に2つ並べて置いてみた。
机の上のママの写真がふんわりと優しい笑顔で見詰めてくれる。
翌日、目を腫らした私が部屋から出ると新しいママはにっこりとして慌てて駆け寄ってきた。
「おはようミヤちゃん。
お誕生日、おめでとう」
そう言った新しいママの目は真っ赤になっていて、私は俯いて目を会わせられなかった。
「ミヤちゃん、忘れないでね?ミヤちゃんの大好きなママはこの日が一番好きなのよ?一番大切な日なの」
囁くように、柔らかく言い聞かせるように新しいママが私の顔を覗きこんでくる。
「……知って、る……」
そう答えるのが精一杯だった。
いつか、言えるだろうか?
誕生日を祝ってくれて『ありがとう』と。
『大好きよ』───と。
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