いつか……

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「いらない」 「え?」 私の言葉に新しいママはビクっと体を強張らせて固まった。 「プレゼントなんていらない。 ケーキなんて大嫌い。 ごちそうも食べたくない」 「ミ、ミヤちゃん?」 リビングのソファーはママのお気に入り。 でも、ママの掛けたふわふわな物とは違うさらりとしたカバーが掛けられている。 それを見詰めてクマさんをぎゅっ!と抱えて新しいママを睨んだ。 ママの選んだ私のお気に入りのワンピース……ママの好きな花柄のカバーの掛かったクッション……ママの好きなテーブルクロスの掛かっていたテーブル……ママの好きな家族お揃いのお皿…… ママの事が大好きだったパパ。 全てを新しくする新しいママなんか嫌い。 ママを忘れて新しいママを連れてきたパパなんか嫌い。 「私、誕生日なんて嫌い!みんな嫌い!」 そう喚いた時、新しいママは凄く驚いて顔をひきつらせて、目を大きく見開いて呆然としていた。 私はその場から逃げて部屋に閉じ籠った。
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