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「パパはね、ミヤを一人にするのが辛かったんだ。
まだ遊びたいだろうに、友達と遊ばず家の事をしてくれるミヤの事が心配だったんだ。
ミヤが無理に笑っているのが悲しかったんだ……パパが仕事で遅くなっても起きて待ってくれてるミヤにどうしたらいいのか判らなかった……
新しいママはね、ミヤの事を本当に大切に思ってくれているよ?
ママの事も大切に思ってくれているよ?」
だんだんとパパの声が小さく、揺れているように聞こえる。
……知ってるよ?
新しいママは少しずつ大きくなる私に、ママの買ってくれた服が小さくなっていくから、体にあった似たような服を買ってくれる。
クッションカバーもソファーのふわふわなカバーも汚れて使えなくなる前に綺麗にしてタンスの中にしまってくれてる。
染みだらけにしたテーブルクロスも棚の中。
洗っている時に手が滑って割ってしまったお揃いのお皿も使わないように、けれど大事に食器棚の上の方に片付けてくれてる。
ママのいた時のモノは全部、綺麗なままこの家の中にあって、無くなってなんかない。
目に見えないだけで、ちゃんとここにあるって、私は知ってる。
だけど、嫌なの。
そうしてママの居た時の物が見えなくなるのが嫌。
ママを忘れてしまいそうな私が嫌。
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