今日から30歳。

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 すると。 「若い姉ちゃんがこん なにまでして…よく頑張ったな」  彼は汚れたコートを眺めつつ、私の頭をワシワシと撫でてくれたんだ。 「え…へへ」    その大きな掌はやたらと温かくて__  今日の日の、何よりのプレゼントに思えた。 「…買ったばっかだったのに」  照れ隠しにぶーたれた私に、彼はさらに優しい眼差しを向けた。 「でも俺には  世界一綺麗な…ゲホッ…コートに見えるよ?」  キュン。  あれ?  何だこれ。 「先生…変わり者だって言われません?彼女いないでしょ?」 「ああ、よく分かるな」 「…ところで、お年は」 「35歳」 「職業は」 「獣医だってば。 おい、さっきから何なんだ?」 「い、イエ別に…」  誕生日、日付は変わっちゃったけど。  この先何か  いいこと  ありそう。  了
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