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すると。
「若い姉ちゃんがこん なにまでして…よく頑張ったな」
彼は汚れたコートを眺めつつ、私の頭をワシワシと撫でてくれたんだ。
「え…へへ」
その大きな掌はやたらと温かくて__
今日の日の、何よりのプレゼントに思えた。
「…買ったばっかだったのに」
照れ隠しにぶーたれた私に、彼はさらに優しい眼差しを向けた。
「でも俺には
世界一綺麗な…ゲホッ…コートに見えるよ?」
キュン。
あれ?
何だこれ。
「先生…変わり者だって言われません?彼女いないでしょ?」
「ああ、よく分かるな」
「…ところで、お年は」
「35歳」
「職業は」
「獣医だってば。
おい、さっきから何なんだ?」
「い、イエ別に…」
誕生日、日付は変わっちゃったけど。
この先何か
いいこと
ありそう。
了
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