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横では綺羅も手を突っ込もうとしている。
「二人ともやめなさい。手を綺麗に洗った子から、ママがいいものをあげるから」
二人はその言葉にすぐに反応し、手を突っ込むのをやめた。
「「いいものって何?」」
二人同時にそう言った。
「とにかく、手を石鹸で綺麗に洗って」
「「はーい」」
石鹸を手に二人は綺麗に手を洗う。
それも鼻歌まじりだ。
その間に、手を拭くタオルと二人がきっと気に入るものを持ちに行く。
これなら喜んでくれるはず──。
私は綺麗に手を洗った二人に、この間買っておいたシャボン玉セットを手渡した。
二人は大喜びで、いっぱいシャボン玉を作り、その度にバースデーソングを歌っていた。
そして私は二人分の上靴を洗い終えた。
月曜日の幼稚園お迎えに行く、先生が不思議そうな顔をして、
「お母さん、頼人くんが昨日汚れた水でシャボン玉作ったって言ってたのですが……どういうことなのでしょう?」
と言った。
頼人よ、何故普通のシャボン玉の話をしないの……ガックリ。
頼人のおかげで、その時の話をしなければならなかったのであった───。
おしまい
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