第3章 海辺の村

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 その村は、小さな漁村で湾状になった海岸沿いに家が並んでいた。特徴的なのが、住民は全員真っ黒い服装をしていて老若男女問わず頭巾まで黒く、顔に炭まで塗っている。そしてそれら全てが小さいのだ。  馬車は村の中を抜けて一件の家の前で止まった。  ビックスローは恐る恐る門をくぐり、家の中をのぞいていると家の裏手から大きなかごを抱えた中年の女性が現れビックスローを見つけるとかさりとかごを落とした。 「まあっ!……まあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあまあっ!」  恐らくこの数秒で一生分の「まあ」を使ったのではと思えるほど繰り返し「まあ」と言って、女性はビックスローの体をなで回して、抱きしめて、顔中にキスをした。 「おっおっかあ…はずかしいだよ」 「んまあっ!またこの子はヘンな言葉遣いをするニ!(まあま)と呼ぶ二  いつものよう二」  どうやらビックスローの母親らしいがこれまた真っ黒い服装に黒い頭巾を被っていて妙な訛りで話している。そして、ずいぶんと背が小さい。 「まあ、こちらは誰二?アレキサンダー。」 ルーイは複雑な面持ちでビックスローを見つめる。その視線に気づいたビックスローはもじもじと指を絡める。 「説明させてほしいだよ…」 「是非そうしてくれ。オイラ何からツッこんでいいのかわからねえよ」 ビックスローの母親は不思議そうに二人の顔を交互に見ていた。
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