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「カナタ、入るよ?」
カナタはこちらをみて笑っていた。
「モモ、お誕生日おめでとう!」
彼はそう言って、私にケーキの箱を差し出してきた。
彼の赤い瞳が私をジッと見つめていた。
床にあぐらをかいて上目遣いで、不覚にもキュンとしてしまう。
…あれ。何か。
「ありがとう!」
違和感を感じつつ、私はそれを受け取る。そして、彼のとなりに座った。
「高校楽しい?」
彼はそう私にたずねた。
…あれ、これって…。
夢が蘇って来た。やっぱり正夢だったんた…。
でも、夢じゃない今の私に悲しい気持ちは沸き起こってこなかった。
「うーん。いつもよりは楽しかったかも。」
私がそう言うと、
「それは、よかった…!」
笑いながら、グッと顔を近づけて来た。
顔の近さに鼓動が増えて行くのがわかる。
「…何?」
彼は、私を数秒ほど見つめると「ケーキ食べよっか!」と言って私から顔を離した。
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