カナタ

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彼はケーキを皿にのせて、私の前に置いた。 「まあ、お食べなさい。」 彼は私の前から隣へ移動して、あぐらをかいた。 私はケーキを一口、口へ運んだ。 美味しい…。 「俺、4歳の時に物凄い頭痛に襲われたんだ。」 カナタは、自分の話を始めた。 真っ黒のまつ毛は下を向き、曲線でなめらかに描いた様な綺麗な横顔がみえる。 長くて綺麗な指でフォークを持ち、ケーキをつつく。 「それで、河内病院に運ばれた。」 河内病院…、近所の病院だ。 大きな病院で、この辺りに住んでいる人なら一度はお世話になる病院。 私も生まれる時からお世話になっている。 「俺が4歳で、運ばれたのは3月31日だよ。分かる?」 カナタは私の顔を覗き込んだ。
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