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「…病室で、点滴をうたれた。針の痛みなんて感じなかった!針が刺さった事すら感じないんだ!痛い!あああ!頭が痛い!恐怖だ!!自分の頭に恐怖を覚えるんだ!消える!記憶が消えてしまう。涙が頬をつたう感覚、手が涙で濡れている感覚!全ての感覚が痛い!!」
カナタは、狂ったように声を荒げた。
彼は喋り終わると、息を荒げながらベットに突っ伏した。
「…カナタ…?」
私は、カナタに驚いていた。
いつもには見せない表情。大人とは本当の顔を隠しているものだと思っていたけれど、こういう事なのだろうか。
カナタが怖い。
私は彼に近づくことが出来なかった。
彼は何を考えているのだろう。
「…モモ。ごめん。」
彼は突っ伏していた顔をこちらに向けていた。
目が合って、心臓が音を立てる。
彼の様子が変わっても、私の心は変わらないようだった。
鼓動が大きくなる。たかが目が合っただけなのに…。そう考えても心は追いついてくれない。
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