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「カナタ、入るよ?」
私はそう言って部屋のドアを開けた。
カナタはこちらをみて笑っていた。
「モモ、お誕生日おめでとう!」
彼はそう言って、私にケーキの箱を差し出してきた。
彼の赤い瞳が私をジッと見つめていた。
床にあぐらをかいて上目遣いで、不覚にもキュンとしてしまう。
カナタは幼なじみで、4歳年上の男の人だ。
「ありがとう!」
私はそれを受け取ると、彼のとなりに座った。
「高校楽しい?」
彼はそう私にたずねた。
…私は今日の出来事を思い出して、悲しくなった。バレたくない…涙を堪える。
「いや、まあ…ふつうかな!」
私がそう言うと、すぐさま彼が疑いの目を向けてきた。
「やだあ。嘘つきぃ。」
女の人のような声を真似て、グッと顔を近づけてきた。
「いや…嘘じゃないから。」
彼は、私を数秒ほど見つめると「ふーん。」と言って私から顔を離した。
何故か、彼は微かにニヤリと笑っていた。
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