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「…モ…モ。」
……。
「…モモ!!」
私は大きな声で目が覚めた。
「やっと起きた!学校遅れるわよ!」
…私の目の前にはお母さん。
「…カナタじゃない…。」
私は、なんだか悲しくなった。
カナタと2人きりなんて、なんて夢見てるんだ私…!
恥ずかしくなって、私はいつもより強く顔を洗ってしまう。
私は急いで準備をして、外へ出た。
寝ぐせで髪はボサボサだ。大丈夫!学校でダッシュで直せばいい!
それに…。
…どうせ髪を綺麗にしても、今日も無駄になるだろうし…。
その時、自転車が目の前で止まった。
「あ、モモだ。」
そう言って笑顔になる彼に、一瞬で心を奪われる。
「…カナタ…!」
しかし、会えた嬉しさを超えてしまいそうな絶望感が身体中を駆け巡った。
なんでこんな寝ぐせの酷いときに…!
そう思いつつ、私は彼に話しかける。
「いつもと違う時間なんだね…。」
「今日は、大学じゃなくて私用でね。」
彼はそう言って、自転車から降りた。
春用のコートを着たカナタは、いつもより大人びて見える。
「まだ時間あるから、学校の近くまで一緒に行っていいかな?」
「…はっ、はい。」
心臓が強く音を立てた。…どうしよう!何これ…!
カナタはただの幼なじみ…幼なじみなんだから。
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