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「実晴…本当にいいのか?」
「はい!私ここにきたかったので!」
そう言った実晴と来たのはまさかの箱根だった。
九月の中旬、実晴の誕生日である15日を挟んで、平日5日の休みをもらったのに、この旅行は一泊二日だ。
『どうせなら、家でゆっくりしたいです』
と言われ、実晴が決めていいよというと電車で2時間もあればつく箱根になった。
しかも、泊まる旅館もいいところではあるけど高級なわけでもなく、普通のところだった。
早速荷物を宿に置いた俺らは箱根登山鉄道に乗って、大涌谷まで来た。
「うわぁ、もくもくしてますね!少し涼しくてよかったです」
実晴は初めて箱根に来るみたいで、まるで小学生のような喜びかたをしていた。
柵の近くで上がる湯気を見たいのか、手がスルリと離れてしまったが、嬉しそうな反応をする実晴を見れるのも嬉しく、迷子にならない程度に目で追うことにした。
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