世紀末の朝

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世紀末の朝

 近未来、人類の文明は崩壊した。人々は記憶を無くし、原始的な生活を余儀なくされている。かつて地上を支配した科学の栄華はスクラップと化し、その残骸だけを晒している。  先大戦の数年後、青年はいつもの様にアパートの一室で目覚める。  巨大なビル群の陰に隠れ、辛うじて無傷だったボロアパートが青年の住処だ。生活物資は近くの量販店跡で手に入る。人々は少ない記憶を頼りに、なんとか今までどおりの生活を営もうと努力している。 「さて、出かけなきゃ」  青年はお気に入りの水色のパーカーを羽織り、ディバックを肩に掛けると、道なき道を自慢のスニーカーで軽々と越えて行く。まるでパルクールやクロスカントリーだ。突然の文明崩壊に取り残された少年は成長し、瓦礫の街に順応していた。
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