世紀末の朝

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 途中で出会った、ご近所さんに挨拶するけれど、耳が遠くて気付かない様子だ。元気な若者しか見掛けないので、高齢者は珍しい。  大戦後、人間は随分と数を減らした。しかし死体なんて見掛けた事はない。 文明崩壊直後には死人や怪我人が大勢居た筈だが皆、何処かへ姿を消している。元気な人間を廃墟の街に残して。  倒壊した巨大なビルの丘に登ると、遠くに河が見える。暇な時は、河で魚釣りをして食料にしている。時には海まで遠征したりもする。  人間が少ないので生き物達の天下となっているのだろう。食料には困っていない。
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