世紀末の朝

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 ブルルルル!  遠くからバイクの音が聞こえた。オフロードバイクの音だ。 青年が少し警戒し身構えた。交通インフラが崩壊してしまった昨今、瓦礫だらけの都市の移動にはバイクがうってつけだが、殆どの場合盗賊の集団だからだ。  キャ!  誰かが襲われているのか? ビルの影からじっと辺りへ目を凝らしてみる。  パラララパラララ! かつては公園であっただろう、ビルの瓦礫に囲まれた、荒れ果てた空き地で、三台のバイクが一人の見慣れない服を着た少女を追い掛けまわしているのが見えた。  盗賊達は何故かモヒカン刈りにそろえ、手に持った鉄パイプのような武器を持ち、少女の周りを距離を保ちながら、瓦礫にパイプを器用に打ちつけて、少女を袋小路へと追い詰めてゆく。  追い詰められ、逃げ場を失った少女に男達が迫る。  そこへ、「お~い! 危ないぞ~」と言う声がビルの谷間にこだました。
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