第1楽章 気紛れな王女の誕生パーティー

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ミオンは、黙って何も言わない。 そっと顔を覗き込んでみると、ミオンの目に大粒の涙が浮かんで、重力に従って地面に落ちた。 あ、マズイ。 地雷踏んじゃった。 「え・・・・・・えーと、ミオン・・・・・・?」 ボクが何か言わなきゃと言葉を探していると、ボクが何かを言う前にミオンは涙を出鱈目に手で拭って、顔を上げた。 その顔には、諦めたような笑みを浮かべている。 ミオンは言った。 「こんな壊滅的に低い声で「女です」なんて・・・・・・そかも、「ミオン・ルーンです」なんて、口が裂けても言えませんね。 言った所で、ニューハーフ扱いされて終わりです。 それなら、グレア・・・・・・さんには、私は未だに行方不明だと思われてる方が良いです。 決めました。 私は、この声が元に戻るまでは男として過ごします。 身分も偽れるし、ちょうど良いや」
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