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あの二人が王宮に来て、そろそろ一年が経つ。
ボク――グレイ・ファブレットは、窓の外を降る、白い雪を眺めて、ぼんやりと考えた。
そう言えば、もうすぐでクリスマスだ。
今年も、王宮では少し前からクリスマスの夜会に向けて、使用人がいそいそとその準備に明け暮れている。
去年までは気乗りがしなかったけど、今年はミオンもリオンも無事に生きている事が解って、ここで保護しているから、何年かぶりにワクワクしていたりする。
二人を驚かそう、とか。
二人とも、喜んでくれるだろうか、とか。
そんな事を考えながら、ボクは自分の姉である、グレイア・ファブレットの部屋へと歩を進めていた。
†
「イア姉さーん、入るよー?」
部屋の扉をノックして、ボクは部屋の主に声を掛ける。
暫くすると、イア姉さんがそのよく言えば裏表の無さそうな顔、悪く言えば天然そうな顔に不機嫌さを滲ませて、出てきた。
ボクの髪とは少し違う、色素の薄い肩までのウェーブの掛かった白銀の髪に、インディゴの大きな目が特徴的で、妹であるボクから見ても贔屓目なしに可愛いと思う彼女が、ボクの姉である、グレイア・ファブレット。
体は弱いらしいけど、これでも市警察の情報処理課のエリート。
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