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王宮を出て、ずっと東の森の方へ歩く事10分。
少しだけ道を間違えつつ、何とか私騎士団の訓練場へと辿り着いた。
この訓練場は基本的には、女王の私騎士団「銀星ノ騎士団(ぎんせいのきしだん)」が使っている訓練場で、今でもそれなりに私騎士団へ入団したルーキーが使っている。
勿論、ボクもたまに使わせて貰ったりしているし、初対面から団長に気に入られたミオンやリオンも好きなように使わせて貰っているみたい。
訓練場に入って目当ての人物が居るか、探してみる。
すると、どうだろう。 遠目からでも解る、それはそれは鮮やかなバイオレットの髪のチビが木陰で蹲っていた。
どうやら彼女一人だけのようだ。 喧嘩でもしたのかな?
そんな事を考えながら、極力気配を消して、背後から近付く。
え、悪趣味だって? 何言ってんの、元からじゃん。 何を今更。
それはどうでも良くて。 どうやら彼女は、ある一点をじっと見つめているらしく、微動だにしない。
ちょっとちょっと、お嬢さん、地べたに座ってたら、折角綺麗な服が汚れるじゃないか。
なんて巫山戯(ふざけ)半分で彼女に近付いてみる。
少し背伸びをして彼女の手元を見て見ると、彼女は手にロケットペンダントを持っていた。
その中には写真が入っていて、それに映ってる二人に驚く。
「あれー、グレアじゃん、隣の」
「うわっ!」
声を掛けると、本当に気付いていなかったようで 、彼女──ミオン・ルーンは、驚いた様な声を上げて、跳び上がるかのようなリアクションをした。
「ファ・・・・・・っ、ファブレット第四王女・・・・・・っ!」
「そんなに驚かないでよー? 逆にボクの心臓が止まるかと思ったじゃん?」
ミオンが驚いた時に落としてしまったロケットを拾いながら、零れ落ちんばかりに大きく目を見開いてこちらを見ている彼女に、それを渡す。
ロケットの中身は、やっぱりどう見てもミオンとボクの兄であるグレア・ファブレットが写っている写真だった。
今よりずっと幼いミオン。 恐らく写真は、三年前の物だろう。
ちょうどその頃は、グレアが社会勉強の一環として、イタリアにホームステイしていた気がする。
正直、どうでも良かったから忘れてたけど。
その時に撮った物だろうか。
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