第1楽章 気紛れな王女の誕生パーティー

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その顔は宛ら恋する乙女のような、そんな表情だった。 ボクは思い出す。 そう言えば、ミオンが行方不明になったと聞いたグレアが、血相を変えて学校を抜け出して裏警察の本部に駆け込んできた時があったような。 その後も常にミオンの事を気にしている様子だった気がする。 もしかして、「ルーンの人魚姫伝説」は案外、本当なのかも? その事を知りたくて、ボクはミオンに訊いてみる事にした。 「ミオンってもしかして・・・・・・グレアの事、好きなの?」 「え!? いや、その・・・・・・それは・・・・・・」 ザックリ訊いてみたら、ミオンは茹でたてのオクトパスの様に顔を真っ赤にして、俯いてもじもじとロケットペンダントを弄りだした。 解りやすっ! 「ミオンが行方不明だった時・・・・・・って言うか、未だにグレアにはミオンが生きてる事は話してないんだけどさ。 まぁ、グレアって他人にあまり興味を持たないんだよね。 それなのに、ミオンの消息の事、すっごい気にしてるみたいでさ。 もしかしてそれって、「ルーンの人魚姫伝説」、関係あったりする?」 「ルーン家の女子が恋をした相手がその歌を聴くと、聴いた人はその女子に恋に落ちてしまう──って伝承ですか?」
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