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居室の社員に挨拶して、更衣室へ向かうところで、病理棟の外へでる玄関口で足音に振り返ると、山崎も鞄を持って歩いてきた。 「なに?」 立ち止まり振り返ってしまったのに、何も言わない私に怪訝な顔をして聞いた。 だって、山崎が定時上がりなんて、初めて見た。 てっきり、私だけ久々に定時あがりさせてくれて、自分は、他の仕事もあるだろうから、残業するのかと思ったから。 今朝、室長と急ぎで試験終わらせるような話してたのに残業しないとは、どんな計画で仕上げるというのだろう。 「今日は、残業なしですか?」 「ああー。忙しくなるから、早めに体調管理。朝から、頭痛いんだよ、たまには早く帰らせろ。」 それって…、私のせいでいつも帰れてないみたい。 そうなの? ってか、頭痛いって、なんで?気付かなかった! 朝から?あー!だから、今朝ぎりぎりになって遅刻ぎみに出勤したの? それに妙に優しいことばかり言ってたけど、それって体調不良のせいだったのかな。 と言うより、昨日…。 「ひょっとして…昨日雨に、濡れたせいですかね? すみません!濡れたままで、私を送ったから…。」
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