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稲田が目を覚ましたのは、この日の深夜だった。 「大丈夫か?」 次の日の朝、誰よりも早くお見舞いに来たのは、岸田だった。 「お前…学校は?」 「良かった…意識…ちゃんと戻ったんだ… 本当良かった…」 「あ…うん…ごめんなさい…」 「ううん、何で謝るの?」 岸田は、昨日の稲田の様子を、稲田の周りにいた人間の動きを、ポツポツと話し出した。 しかし、そのほとんどは稲田の記憶には無いものだった。 「お見苦しい姿を見せて、ごめんなさい…」 「だから、謝るなって… 実は俺ね、先生にどうしてもってお願いしたら、じゃあお前は稲田をかなり昨日助けたから特別な?って、特別にここ教えてもらったんだ。」 「先生って担任? そうなんだ…」 「うん。 多分もう先生とお前の家族以外は誰も見舞い来ないと思う。」 「そっか。 その方が有難いや。」 「じゃあ、学校で待ってるから… 絶対帰って来いよ? 少なくとも、俺は待ってるから。」 「おう… ありがと。」
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