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稲田の目からポタリと落ち始める涙。
それは、止まる事を知らない。
「大丈夫…?
ねえ、優美子ちゃん!?大丈夫!?ねえ…」
「おい…大丈夫かよ…お前…」
稲田の異変を見逃さなかった、左隣の麻生と、
後ろの岸田。
「うん、大丈夫…
全然平気…
ありがと。」
稲田の強がりとは、裏腹に悪化していく稲田。
稲田の涙はあっという間に、たまたまポケットに入れていた、ハンカチを絞れるのでは無いか?と言うほどに、濡らしていく。
ガタガタと震え始める全身。
必死に稲田の背中を擦る、麻生と岸田の手にもおのずと伝わる振動。
「おい…本当に大丈夫なのか?」
「優美子ちゃん?」
「うん…
平気…
ちょっとね…
昔の事思い出しちゃっただけ…」
「昔って?」
不思議そうに聞く麻生。
「強がんなよ…」
少しキレる岸田。
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