4/8
前へ
/20ページ
次へ
稲田の目からポタリと落ち始める涙。 それは、止まる事を知らない。 「大丈夫…? ねえ、優美子ちゃん!?大丈夫!?ねえ…」 「おい…大丈夫かよ…お前…」 稲田の異変を見逃さなかった、左隣の麻生と、 後ろの岸田。 「うん、大丈夫… 全然平気… ありがと。」 稲田の強がりとは、裏腹に悪化していく稲田。 稲田の涙はあっという間に、たまたまポケットに入れていた、ハンカチを絞れるのでは無いか?と言うほどに、濡らしていく。 ガタガタと震え始める全身。 必死に稲田の背中を擦る、麻生と岸田の手にもおのずと伝わる振動。 「おい…本当に大丈夫なのか?」 「優美子ちゃん?」 「うん… 平気… ちょっとね… 昔の事思い出しちゃっただけ…」 「昔って?」 不思議そうに聞く麻生。 「強がんなよ…」 少しキレる岸田。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加