第2章

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『片桐さん、婚約したんだろ』 「え?」 ロンドンなのに情報早くないか? 「なんで戸川がそれを?」 『紗衣から聞いた』 「ああ…そうか」 動揺のせいか忘れていた。 片桐主任の相手は成瀬さんの後輩だから繋がってるんだ。 片桐主任と成瀬さんも仲がいい。 ちなみに戸川は結婚までしたくせに、動物的本能なのか、未だにそれが気にくわないらしい。 「成瀬さん、片桐主任から聞いたんだな」 『そっちじゃねぇよ!後輩だ』 奥さんピンポイントでオトナ気なくスイッチが入るから面白い。 「それで、亀岡先輩の心配を?」 戸川をいじるのはここまでにして、どこまで見抜かれているのか本題に戻すと、チラと羽鳥課長がこちらを見た。 『まあ、そうだな』 「昔はドライだったくせに。 あの時も他人事だったよな」 亀岡先輩が戸川に抱きついて泣いた事件。 あの時からかもしれない。 それまで遠い存在だった女王様が、俺の中に入り込んできたのは。
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