第2章

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戸川が電話してきた本来の目的は、女子に人気のブランドの日本限定販売のチャームとやらを買って送れという怪しい頼みだった。 「いいけど、何に使うんだ?」 『…何でもいいだろ』 ここはイジりどころだ。 「じゃ俺はパス。悪事に加担したくないからな。相原にでも頼めば?」 『わかったよ!相変わらず性格悪いな。紗衣だよ。誕生日が三月だから』 なんでも、成瀬さんが日本から送られた雑誌でそれを見つけて欲しがっていたらしい。 「あー、なるほどね。なら、やっぱり俺より相原のが間違いないんじゃないの?あいつ、女子の店でもホイホイ入れる奴だから」 『でもあいつ、うっかり君だろ? ペラペラ喋りそうだからな』 「うっかり君て」 確かに、相原の奥さんから成瀬さんに伝わりそうだけど。 「…だけどお前、サプライズとかする奴だったか?」 『うるさい』 笑いながら手元のメモを折り畳んでポケットに入れた。 「了解。探して送るよ。自宅より会社に親展で送ろうか?」 海外事務所は個人事情に寛容だから、親展郵便物も問題ない。
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