おまけ① 課長の電話攻撃

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「先輩」 「……」 さらにきつく、お布団を巻き付けた。 「…美紀」 この声…身体の中がジンとする。 篠田に名前を呼ばれるのがたまらなく好き。 もう一回聞きたいからわざと黙っていると、温かな息が耳元にかかった。 「美紀……美紀」 篠田は独り言のように呟いた。 口数が少ないぶん、なんてことない一言や仕草がゆっくりゆっくり私の中に染み渡る。 今まで彼は私を名前で呼ぶことを遠慮していたのかもしれない。 無理やり自分の色に塗り替えようとはしない人だから。 ……身体の行為は最初から何の遠慮もないようだけれど。 「美紀」 「……何?」 少し照れて返事する。 「二人のこと、言ってしまっていいですか?高木に」 「……嫌」 「皆に漏れるのが嫌?」 「違うわ。逆よ」 篠田に向き直り、真っ正面から見つめる。 「もう、みんなに言っちゃうの。 高木さんだけじゃなくて」 「それでいいんですか?」 「もちろん」 拡声器で街宣するか、ヘリでビラを撒きたいぐらいだ。
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