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篠田は少し意外そうな表情を浮かべた後、目を細めてにっこりした。
「前に隠したいって言ってたから、尊重してたんですよ」
「ごめんなさい…。
私、そんなこと言ったのね」
「理由は聞きませんでしたが、課長の直後でもあったし、小椋のこともあるし…じゃないですか」
「そうだ、小椋さんのこと忘れてたわ」
腐れ縁とはいえ、今は結構仲良しになった小椋さんにはバルサンの前に告知するのがせめてもの誠意に思える。
いまだに篠田宅の洗面所にある、あの処分に困るポーチも返さないといけないし。
まあ篠田の前では二度と使えないだろうけど。
「…どうやってオープンにするのがいいかしら」
「声高に宣伝することではないですから普通に、隠さずにいるぐらいですかね?」
「そうね…」
怜の時は自然に広まり、じわじわと公認になった。
だけど、害虫をギャフンと言わせる、もっと手っ取り早くてパンチのあるやり方はないものか。
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