おまけ① 課長の電話攻撃

12/14
前へ
/14ページ
次へ
「……来週、全体の飲み会あるわよね。それよ」 高木さんの腕から篠田をかっさらう図を想像したら顔がにやけた。 「堂々と一緒に帰るの」 私たち一緒に住んでるからってサラリと言って、酔ったフリで皆の前で“陽一郎”なんて呼んで、手なんか繋いじゃうとか。 篠田の拒絶反応はこの際気にしないでおこう。 「ふふふ」 「楽しそうですね。 何か悪寒がしなくもないですが」 篠田がそっとキスしてきた。 「うん、すごく楽しみよ」 固く巻き付けていたお布団を解いて篠田にもかけてあげて、ぴったり寄り添う。 「その前に、小椋さんには私から言うわね。仕事仲間だし」 「大丈夫ですか?」 「かなり噛みつかれそうだけど…。そうだ、洗面所のポーチ貰っていくわね」 「ポーチ?何で……あっ!」 篠田はようやくポーチ事件の真犯人に気づいたようだ。 「……知ってたんですね?」 篠田の手が背中に回り、逃げられないように私の身体を拘束した。 「なのに、俺をからかった訳だ」 「だって篠田、必死で可愛かったんだもの!」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1589人が本棚に入れています
本棚に追加