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「……来週、全体の飲み会あるわよね。それよ」
高木さんの腕から篠田をかっさらう図を想像したら顔がにやけた。
「堂々と一緒に帰るの」
私たち一緒に住んでるからってサラリと言って、酔ったフリで皆の前で“陽一郎”なんて呼んで、手なんか繋いじゃうとか。
篠田の拒絶反応はこの際気にしないでおこう。
「ふふふ」
「楽しそうですね。
何か悪寒がしなくもないですが」
篠田がそっとキスしてきた。
「うん、すごく楽しみよ」
固く巻き付けていたお布団を解いて篠田にもかけてあげて、ぴったり寄り添う。
「その前に、小椋さんには私から言うわね。仕事仲間だし」
「大丈夫ですか?」
「かなり噛みつかれそうだけど…。そうだ、洗面所のポーチ貰っていくわね」
「ポーチ?何で……あっ!」
篠田はようやくポーチ事件の真犯人に気づいたようだ。
「……知ってたんですね?」
篠田の手が背中に回り、逃げられないように私の身体を拘束した。
「なのに、俺をからかった訳だ」
「だって篠田、必死で可愛かったんだもの!」
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