おまけ① 課長の電話攻撃

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「いや、別に聞かれてまずい訳じゃ……俺一人ですって。 そんなことより用件は?」 背後の私の陰気なオーラでも感じたのか、篠田が無理やり話題を変えた。 早くオープンにしろという先日の課長の電話を思い出す。 “害虫駆除は一匹一匹潰すよりバルサンだよ” その時は課長の例えに吹き出したけれど、今は笑う気分ではない。 「ああ…あの条項ですか…。先方に削るよう交渉してるんですが、難しそうですね」 脇に置いた鞄から資料を取り出してすっかり仕事モードになった篠田の背中を睨み付ける。 “あれは違う”とか“聞かれてまずい”とかって何よ? お仕置きしてやりたくなった私はそっと起き上がり、篠田の背中ににじり寄った。
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