おまけ① 課長の電話攻撃

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なかなか総崩れにはならない篠田に、もう一度、今度は思い切り甘ったるく囁いた。 「よう・いち・ろー」 「ちょ、……えっ? すみません課長、今何と?」 少し赤くなった耳を悪ふざけで食むと、篠田が私を振りほどこうと身体を捩った。 「はい……は、い…っ」 篠田は自分の名前をあまり好きではないみたいだけど、たまに呼んだ時の反応がとっても可愛い。 「分かりました。週明けに修正版を送ります。じゃあまた月曜……えっ?いや、かちょ、違っ……! ……切れた」 電話を終えた篠田が携帯を放り出し、私を組み敷いた。 「ふふ、ドキドキした?」 「何考えてんですか! 課長にバレたじゃないですか」 「聞こえないように言ったのに」 「切り際に“それじゃ美紀チャンと続きをどうぞ“って言われましたよ」 「あらら」 「あららじゃないですよ」 呆れ顔の篠田を見上げて笑いかける。 「大丈夫よ。私達が半同棲してること課長はとっくに知ってるし、それにもうお相手がいるのよ」 「お相手?」 「まだホヤホヤだけど進展早いと思うわ。きっとじきに朗報が聞けるわよ」 喋ってる間に篠田の眉間にどんどん皺が寄るのを面白く眺める。
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