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なかなか総崩れにはならない篠田に、もう一度、今度は思い切り甘ったるく囁いた。
「よう・いち・ろー」
「ちょ、……えっ?
すみません課長、今何と?」
少し赤くなった耳を悪ふざけで食むと、篠田が私を振りほどこうと身体を捩った。
「はい……は、い…っ」
篠田は自分の名前をあまり好きではないみたいだけど、たまに呼んだ時の反応がとっても可愛い。
「分かりました。週明けに修正版を送ります。じゃあまた月曜……えっ?いや、かちょ、違っ……!
……切れた」
電話を終えた篠田が携帯を放り出し、私を組み敷いた。
「ふふ、ドキドキした?」
「何考えてんですか!
課長にバレたじゃないですか」
「聞こえないように言ったのに」
「切り際に“それじゃ美紀チャンと続きをどうぞ“って言われましたよ」
「あらら」
「あららじゃないですよ」
呆れ顔の篠田を見上げて笑いかける。
「大丈夫よ。私達が半同棲してること課長はとっくに知ってるし、それにもうお相手がいるのよ」
「お相手?」
「まだホヤホヤだけど進展早いと思うわ。きっとじきに朗報が聞けるわよ」
喋ってる間に篠田の眉間にどんどん皺が寄るのを面白く眺める。
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