おまけ②小椋嬢、吠えるの巻

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「成瀬さん、元は崎田君と婚約してたらしいですよ。それを小野寺唯が寝取ったんです。崎田君のアシスタントの立場を利用して」 「良かったんじゃない? 崎田君より断然、戸川君でしょ。 それに簡単に寝取られるような男、いつかまた繰り返すわ…よ…」 言ってる最中に気づいた。 これって……。 篠田も高木さんに猛攻受けてるし、状況が似てなくもない。 それに私も前の彼女から寝取ったと言えなくもないし。 “いつかまた繰り返す” 自分の台詞でズドンと落ち込む。 「ですよねー。あー戸川君、格好よかったなぁ。結婚しちゃうなんてもったいない」 「戸川君、成瀬さんにはメロメロらしいわよ。篠…梨香子から聞いたけど想像できないわよね」 篠田と言いそうになって太ももをつねった。うっかりカミングアウトしたのでは心証が余計に悪い。 「何が違うんですかね?成瀬さんにあって私に無いものって、ぶっちゃけ無いと思うんですけど」 再びワインを吹きそうになった。 でも笑っている場合ではない。 元の話題に戻る様子もなく脱線していくマシンガントークに、今夜中にカミングアウトできるのか不安になってきた。 明日がバルサン決行日なのに。
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