1372人が本棚に入れています
本棚に追加
「成瀬さん、元は崎田君と婚約してたらしいですよ。それを小野寺唯が寝取ったんです。崎田君のアシスタントの立場を利用して」
「良かったんじゃない?
崎田君より断然、戸川君でしょ。
それに簡単に寝取られるような男、いつかまた繰り返すわ…よ…」
言ってる最中に気づいた。
これって……。
篠田も高木さんに猛攻受けてるし、状況が似てなくもない。
それに私も前の彼女から寝取ったと言えなくもないし。
“いつかまた繰り返す”
自分の台詞でズドンと落ち込む。
「ですよねー。あー戸川君、格好よかったなぁ。結婚しちゃうなんてもったいない」
「戸川君、成瀬さんにはメロメロらしいわよ。篠…梨香子から聞いたけど想像できないわよね」
篠田と言いそうになって太ももをつねった。うっかりカミングアウトしたのでは心証が余計に悪い。
「何が違うんですかね?成瀬さんにあって私に無いものって、ぶっちゃけ無いと思うんですけど」
再びワインを吹きそうになった。
でも笑っている場合ではない。
元の話題に戻る様子もなく脱線していくマシンガントークに、今夜中にカミングアウトできるのか不安になってきた。
明日がバルサン決行日なのに。
最初のコメントを投稿しよう!