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「へっくしょぃ!」
中野君がくしゃみをした。
風邪ひいちゃうじゃん。
バッグの中でハンカチを握りしめたけど照れ臭くて、行動に移すにはまだハードルが高い。
「ちょっと!髪拭きなよ」
「俺、平気!」
「私が恥ずかしいんだってば!」
背伸びして乱暴に拭いてあげた。
まだまだ、私たちが甘くなる日なんてさっぱり見えないけど、でも。
“あの失恋がなかったら、彼を見つけられなかった”
大失恋の後、ずっと傍にいた篠田君と最高の恋を見つけた美紀先輩みたいに。
“失恋だって何だって、無駄なことは何もないの”
そんな風に誰かに言える日が、
いつか私にも訪れますように。
繁華街の中心で中野が叫ぶ・終
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