おまけ③ 繁華街の中心で中野が叫ぶ

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『いやー、祝杯だな!ほら高木さんも行こう』 上機嫌で戻って来た米州部長の声で、肝心の床上手の存在を忘れていたことに気づいた。 床上手はひきつった顔で元いた場所に立ち尽くしていたけれど、部長に促されるまま、力なく連れていかれてしまった。 『うわ、高木カワイソー。部長の二次会だけは行きたくねぇな』 『タダ酒でも煙草がすごいしね』 『おら独身組中野!お前も来い』 『えっ?いや部長、俺はえーと』 結局、中野君が抵抗している間に私はこっそり逃げ出して、地下鉄の中で一人で泣いた。 *** 「週明けの月曜さ、篠田があんまり無表情だから笑えたよな? 誰も突っ込めなかったろ」 「よく言うよ。中野君はストーカーだったじゃん」 あれから一週間、中野君はお昼も仕事後も篠田君に付きまとって、情報をほじくり返していた。 今日はその戦果を教えてくれるらしい。 「女王様、あんな鉄仮面のどこがいいんだろうな」 「それがいいんだよ。誰かみたいに感情だだ漏れは周囲が萎えるっつーの」 「俺のこれは仮面なんだからな! 内に秘めたものがあるんだよ、お前にゃ分からんだろうけど」 「分かりたくないし」
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