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涙は見せたくないけど、中野君と喋るのはそれなりに楽しい。
飾る必要ないし、気楽だし。
「小椋、次もビールでいいか?」
「んー、次はチューハイにする」
中野君が私のグラスが空になったのを見計らってオーダーした。
無神経で煩いけど、きちんと相手に合わせる気遣いはある。
「今週つつき回して思ったけど、篠田ってさぁ、亀岡先輩のこと相当好きだな」
前言撤回。
やっぱ無神経野郎は嫌いだ。
「あいつ、ああいう派手なことやるタイプじゃねぇだろ?
でも、あれには理由があるんだな。あいつ、はっきり言わなかったけど」
「どういうこと?」
「昔さ、片桐王子と亀岡先輩、ほとんど同時に赴任決まっただろ?
あの時、片桐王子を選べる雰囲気じゃなかったじゃん?」
「ああ…林部長、女性第一号だって、すごいプレッシャーかけてたよね」
君の能力にかけて推したとか。
わが社の女性の今後は君にかかってる、とか。
あの時は美紀先輩が嫌いだったから、そんな騒ぎ全部がうざかったけど。
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