おまけ③ 繁華街の中心で中野が叫ぶ

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涙は見せたくないけど、中野君と喋るのはそれなりに楽しい。 飾る必要ないし、気楽だし。 「小椋、次もビールでいいか?」 「んー、次はチューハイにする」 中野君が私のグラスが空になったのを見計らってオーダーした。 無神経で煩いけど、きちんと相手に合わせる気遣いはある。 「今週つつき回して思ったけど、篠田ってさぁ、亀岡先輩のこと相当好きだな」 前言撤回。 やっぱ無神経野郎は嫌いだ。 「あいつ、ああいう派手なことやるタイプじゃねぇだろ? でも、あれには理由があるんだな。あいつ、はっきり言わなかったけど」 「どういうこと?」 「昔さ、片桐王子と亀岡先輩、ほとんど同時に赴任決まっただろ? あの時、片桐王子を選べる雰囲気じゃなかったじゃん?」 「ああ…林部長、女性第一号だって、すごいプレッシャーかけてたよね」 君の能力にかけて推したとか。 わが社の女性の今後は君にかかってる、とか。 あの時は美紀先輩が嫌いだったから、そんな騒ぎ全部がうざかったけど。
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