おまけ③ 繁華街の中心で中野が叫ぶ

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*** 長い沈黙の後、高木が仕切り直しのようにカクテルを一口飲んだ。 『主任がお付き合いされてる方って社内ですか?社外ですか?』 『社内だよ』 (初耳じゃぁ!)←中野の心の声 『ねぇ、主任。 私……秘密守れますよ?』 ようやく口を開いた篠田の反応に手応えを感じたのか、高木がクスッと笑って篠田の腕に触れた。 『その方にも、職場にも。だから一度だけ、私に思い出を下さ──』 『高木さん』 不意に篠田が遮った。 『これ、本物だと思う?』 『えっ?』 篠田がオードブルの上に乗っかったキャビアを箸でつまみ上げた。 『偽物だよ。食べなくても分かる。こうして安価に提供されるものはね』 『……』 『これも悪くないけど、本物を求める相手の前に山盛りにしても、要らないものは要らない』 キャビアもどきを皿の脇に押しやって、篠田が平板な声で言った。 『そういうものでしょ』 *** 「きっつー」 「だろ?俺、寒気したぞ。一瞬、篠田がめっちゃ嫌な奴に見えた」
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