おまけ③ 繁華街の中心で中野が叫ぶ

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中野君はびしょ濡れになって、突然のことにただ目をひん剥いて固まっている。 とんでもないことをやってしまったのは分かってるけど、迸る感情は止められない。 「落ち込んでないとかさ、アンタに何が分かるのよ」 中野君の頭に乗っかっていた氷がコロンと落ちた。 「顔が笑ってるからって心までそうとは限らないじゃん! あたしだってさぁ、本当は落ち込んでてもさぁ、笑っ…」 唇がわなわな震えて中野君の顔が霞んできた。 「いっつもいっつも、あたしのことボロクソ言って」 「小椋、おま、泣い…」 誰からも大事に思って貰えない。 私だって傷つくんだ。 「言われなくてもそんなこと、あたしが一番分かってるよ!」 何か投げつけてやりたいのにもうチューハイは空だった。 「小椋…うわっ?」 わずかな理性でグラスを投げつけるのだけは我慢して、お皿に残っていたキャベツを掴んで投げつけると、後ろも見ずに駆け出した。
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