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「お疲れー」
「うぃーっす!」
中野君は学生時代に体育会ラグビー部だったというだけに、飲みっぷりだけはいい。
目の前でジョッキを豪快にぐびぐび飲み干している中野君の喉仏をまじまじと観察する。
“中野君と仲いいわよね”
美紀先輩はそう言うけど。
篠田君みたいな冷徹インテリ系がタイプの私には、がっちり体型にも太い首にも全くそそられない。
「違うんだよなぁ…」
「えっ、何か言ったか?」
「何も言ってないよ」
口に泡をつけたまま丸い目をキョトンとさせた中野君に首を振った。
先週、美紀先輩と飲みすぎて懲りたはずなのに、今週も中野君と飲みに来てしまったのは、一人でいたくなかったから。
秋だから余計に悪いんだ。
失恋したのは今に始まったことじゃないし、床上手の真っ青な顔を見られて痛快だったけど。
でも、もう終わりなんだなぁと思うと、じわじわと寂しさが込み上げる。
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